地域の民芸品伝承に向けて


NPO法人平丸スゲ細工保存会

 「スゲ細工」は妙高市の南東部、長野県境の山間に位置する平丸地区で作られる伝統民芸品です。乾燥させたスゲの葉を干支の形に編み上げていくもので、妙高市の無形文化財にも指定されています。

妙高市を代表する民芸品。スゲによる干支の縁起物
妙高市を代表する民芸品。
スゲによる干支の縁起物

始まりは昭和30年代。もともと冬の農閑期にスゲござや蓑帽子づくりが盛んだった同地区。スゲで馬の置物を作って土産物店で販売したところ好評を得たことから、縁起物として毎年の干支を模ったスゲ細工に変化していきました。昭和40年代には、百貨店をはじめ様々な場所で販売され、作り手も200名を超えるほどに。切手の図柄にも選ばれるなど最盛期を迎えました。

「春駒(はるこま)」と呼ばれる作品。スゲ細工の原型と云われている
「春駒(はるこま)」と呼ばれる作品。
スゲ細工の原型と云われている。

スゲ細工が盛んだった頃。集落にとって農閑期の大事な産業だった
スゲ細工が盛んだった頃。
集落にとって農閑期の大事な産業だった。

しかし時代とともに販売数や作り手は減少。近年では数少ない作り手の高齢化から、その存続が危ぶまれています。

 そんな中、平丸地区に縁を持つ有志と地元住民により「スゲ細工」文化を保存・継承していこうと2014年に立ち上がったのがNPO法人平丸スゲ細工保存会です。
 スゲ細工の制作は制作に至るまでの工程にも大変な手間がかかります。会では地域の休耕田を活用し独自にスゲを栽培。変色したり折れ曲がったものは材料として使えないため、スゲの発育にも気を遣います。そこから刈り取り、乾燥させ、スゲの状態を確認しながら適した材料を揃えていくのです。
 制作に関しては、長年スゲ細工を作り続けている地元のベテラン職人から新年の干支づくりの指導を受けますが、皆が12種類全ての干支を指導できるわけではありません。干支によっては指導できる職人がおらず、同会メンバーのみで過去の資料を参考にしながら、時には昔の完成品を分解し、製品に組み上げていく方法を探ることも。組み上げ方が決まると、そこから各部位について材料を加工する作業です。スゲを叩いて繊維状にした「毛巻き」で細い毛並みを再現したり、木の皮やワラなど質感の違う部材を組み合わせたりしながら、それぞれの部位を用意。これらを丁寧に成形して干支にしていきます。全ての工程を原則手作業で、干支にもよるが、各部位の制作から成形まで約3日かけて完成させます。

スゲ細工保存会メンバーによる制作風景。ほぼ手作業で作られる
スゲ細工保存会メンバーによる制作風景。
ほぼ手作業で作られる。

保存会が数十年振りに復活させた巨大春駒の「引き馬」
保存会が数十年振りに復活させた巨大春駒の「引き馬」

 会では同地区の空き家を活用し「平丸スゲ細工創作館」を開設し、スゲ細工の制作と販売を続けながら、教本や映像などによる加工技術の継承や歴史保存等といった保存活動を展開。より多くの市民からスゲ細工にふれてほしいとの思いから第2拠点となるスゲ細工資料館「つなぐ」を上越市板倉区に昨年開設しました。

資料館「つなぐ」での一コマ。小学生にスゲ細工を説明する柴野代表
資料館「つなぐ」での一コマ。
小学生にスゲ細工を説明する柴野代表。

活動を始めて8年。干支で言えば一周まであと少し。これからも地域が誇る貴重な民芸品を保存継承していく取り組みは続きます。


特定非営利活動法人 平丸スゲ細工保存会
新潟県妙高市白山町 2-18-14

スゲ細工創作館
新潟県妙高市上平丸 2759
HP:https://sugezaiku.jimdofree.com/
☎0255-77-4839

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