大河津分水通水100周年によせて(1/3)


大河津分水は通水100周年を迎えます。
 良寛さまをして、「この世に神様がいるなど疑いたくなる」と言わしめた水害。それでも越後平野の人々は、平穏な生活を諦めませんでした。今この地で平穏に暮らすことができるのは、大河津分水を実現してくれた先人たちのおかげです。
 通水100周年をきっかけに、今一度、大河津分水の役割や存在の大きさを知り、理解を深めて、この地が平穏であり続けるために、更に私たちができることを考える機会にしたいと思います。

大河津分水
大河津分水
出典:にいがた観光ナビ

信濃川の洪水に苦しめられてきた歴史
 まだ大河津分水がなかった時代、信濃川は3年に1度の頻度で決壊し洪水を起こす「暴れ川」でした。当時の越後平野は潟や沼地が多く、水はけが悪い土地だったため、腰まで沈む田んぼの中、舟を使い、竿に乗りながら農作業(田植えや稲刈り)をしていました。そこへ、信濃川が氾濫します。せっかく耕した田畑は水に流され、収穫が望めない年もありました。
 水はけの悪い土地で洪水が起きれば、水が引くまでに数カ月かかります。伝染病が蔓延し、さらに人々を苦しめ、洪水による不作は人々を困窮させました。子どもを身売りすることで解決するケースも珍しくなかったそうです。

信濃川の洪水から生まれた? 燕の金属加工産業
 困窮から脱却するため、農家の副業として推奨されたのが「和釘」づくりでした。和釘は、燕における金属加工産業の起源とされています。水はけの悪い土地での農作業に欠かせない舟や、水害で壊された家屋の修繕など、和釘にはかなりの需要があったと思われます。和釘は、急速に百万都市へと変貌していく江戸へも出荷されていました。信濃川の氾濫による洪水で苦しめられ、農業だけでは生きていけない土地だったからこそ、燕は金属加工の一大産地になることができたとも言えるでしょう。

燕における金属加工産業の起源となった和釘
燕における金属加工産業の起源となった「和釘」
出典:DiscoverJapan「金属加工の燕三条」原点はクギでした/新潟・燕・三条

(2/3)へ続く(会報誌:2022年04月)

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