麒麟山酒造株式会社

にいがた情報

麒麟山酒造株式会社
麒麟山暖簾

麒麟山酒造はいつから始めたのか

麒麟山酒造が所在するのは、新潟県阿賀町。福島県との県境に接し、長く会津領であったため会津文化も漂わせている古き町です。町の中心には「阿賀野川」と「常浪川」二つの川が流れ、その合流点には紅葉の名所として名高い岩山「麒麟山」がそそり立ち、豊かな自然と美しい景観が自慢の町でもあります。創業は、江戸後期の天保14年(1843年)。創業時は、木炭生産販売業を主な家業としていました。本格的な酒造業は2代目、齋藤吉平の時代から始まったと言われています。

銘柄はいつから名乗ったのか?

当時の銘柄は、井戸から湧き出る豊かな水への感謝の気持ちと神様からの恵みの酒を意味する福の文字から、「福の井」と名付けました。「麒麟山」に銘柄変更したのは、明治15年(1882年)からの事です。

そもそも、阿賀町の象徴でもある「麒麟山」の名前の由来は、中国で生まれた架空の動物「麒麟」にその姿が似ていることから名付けられたと言われています。古代中国では、一角獣とも呼ばれ、龍、鳳凰、亀と並んで、縁起の良い四霊の一つと数えられています。

それにあやかり、「飲んで頂く方に幸せが訪れるように」と願いを込めて、「福の井」から現在の「麒麟山」に銘柄を変更しています。併せて、社名も昭和26年(1951年)に「麒麟山酒造株式会社」に法人化、その酒造りは現在7代目齋藤俊太郎氏に継がれ、今年で創業173年を迎えています。


大吟醸の袋吊り

酒造りへの取組姿勢

麒麟山酒造は、日本酒のなかでも「地酒」を醸す蔵元です。その地で採れた米と水を使い、その地で醸されその地の人たちの日々の生活に寄り添う酒を造る。そんな「地酒」を造ることで、地元の豊かな生活に貢献したいと語っています。この思いが、麒麟山酒造の原点になっています。

麒麟山酒造が使用する仕込み水は、地元御神楽岳(1386m)を源流とする常浪川の伏流水。地下に貯蔵された水は、ミネラル分が少ない軟水で、すっきりとした淡麗な酒を目指す麒麟山酒造にとって極めて理想的な水となります。

麒麟山酒造は、将来的にもこの良質な水の確保は必須であることから平成22年に森づくり事業を始めました。伐採後に放置された森林には、間伐や下刈りを行い、常浪川源流の山々の水源涵養機能を取り戻すための森林再生活動に取り組んでいます。
また、水とともに酒造りに欠かせない米についても、地元栽培に取り組んでいます。作っている場所が見えて、作り手が見えて、作り方もしっかり見届ける事が出来る。「地酒を醸す蔵元であるならば、安心して使える地元の原料にこだわりたい」。そんな思いから、平成7年地元産米百%での酒造りを目指し地元農家とともに「奥阿賀酒米研究会」を発足しました。

米の作り手のみなさんと積極的に、コミュニケーションを図ると同時に、栽培指導会を開くなど、栽培技術の促進や品質の向上を図っています。昨年、その活動は20年を迎え、会員数も発足時の15名から33名に増えています。また、平成23年に社内にアグリ事業部を設置。専門の社員が中心になって米の栽培に取り組んでいます。

麒麟山酒造では、年間およそ一万俵の原料米を使用しています。そのすべてが新潟県産米、うち約80%が阿賀町産米を使用しています。「五百万石」や「たかね錦」、「越淡麗」といった酒米については、昨年、阿賀町産米比率百%を達成しました。ただ、麒麟山酒造の主力商品である普通酒を造るためには、酒米以外に「こしいぶき」が必要になります。


製麹

麒麟山酒造のお酒のラインナップ

麒麟山酒造といえば、「辛口」。5代目齋藤徳男の「酒とは辛いもの」という信念を受け継ぎ、現在もキレのある辛口の酒造りにこだわっています。伝統的な辛口は、代表銘柄の「伝統辛口」、略して「伝辛」。昔から晩酌酒として地元のひとから広く愛されています。

しかし、市場では次第に辛口をうたう商品がひしめくようになり、麒麟山というブランドが必要とされるには、独自の価値を創造し、麒麟山酒造が辛口に突出しているイメージをもっと鮮明にする必要がありました。
そこで誕生したのが、伝辛の酒質を受け継ぎ、麒麟山酒造のこだわりや思いを凝縮させた辛口シリーズの商品群です。
現在、透明感あふれる「大吟醸辛口」、ふくらみのある「純米吟醸辛口」キリッと引き締まった「吟醸辛口」コクのある「生酒辛口」キレ味抜群の「麒麟山超辛口(通称「麟辛」)」の5種類だ。また、それぞれの個性が一目でわかる色で表現したカラーボトルシリーズも主軸のひとつである。透き通るような純米大吟醸酒は「ブルーボトル」、深いコクを感じる純米吟醸酒「ブラウンボトル」、自然でピュアなイメージの純米酒「グリーンボトル」、お燗が合う本醸造酒「ブラックボトル」、清涼感あふれる大吟醸生酒「ホワイトボトル」のやはり五種類で構成されている。
 

期間・地域限定のお酒
  • 6月、11月 大吟醸酒「煇 -Kagayaki-」
  • 10月、11月 越淡麗長期熟成大吟醸酒「紅葉(もみじ)」
  • 12月、2月 純米吟醸原酒生「ぽたりぽたりきりんざん」
  • 3月 「麒麟山梅酒」
  • 5月 「嫁入り酒」、「手ぬぐい酒」


袋吊り

更なる挑戦

商品アイテムの増加に対応した貯蔵タンクの本数を確保するために、本社屋脇に貯蔵棟を新設しました。夏に向け、本格稼働する予定です。完成後は、お酒の製造貯蔵が少量から可能となり、今よりさらに鮮度の良いお酒の提供が可能となります。
 


麒麟山

日本酒に託す夢は?

全国から美味しいものが集まる東京で、「麒麟山のお酒は美味しい」と言われることが、麒麟山酒造と米の栽培を手がける地元農家にとって何よりの励みとなります。麒麟山で盃を傾けるとき、その水を生み出す自然豊かな山々や稲穂が実る田園風景を少しでも、思い描いて貰えればと、麒麟山酒造に携わる多くの人が願っています。

麒麟山酒造株式会社

新潟県東蒲原郡阿賀町津川46
☎:0254-92-3511
HP:麒麟山酒造 株式会社

(文:広報委員 田辺 幸雄)

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