想いは「越後の雪椿」―「雪椿」ユキツバキの発見・命名秘話(2/3)


雪椿の幻の「発見・命名者」丸山忠次郎先生

 ふたたびあの日、麒麟山の父の回想に戻ります。登った口がどのあたりからかは、今ではもう知る由もありませんが、当時の学校の所在地から考えて、おそらく津川の方からだったのに違いありません。山中、植物学に詳しい、丸山先生は、椿の一株を見て「花の全容や雌雄蕊がどうも異なるから変種だと思う」とおっしゃってすぐ採取されました。

 東京帝国大学理科大学の牧野富太郎先生のもとに見本をお送りしたところ先生は早速「雪椿」と命名されてこられました。ちなみに、牧野先生は「日本の植物学の父」と親しまれた大植物学者で、その著書「牧野日本植物図鑑」はその後の植物学者にとって植物学の聖書とまでいわれました。その95年の生涯に、約2千5百種の植物に命名されましたことは、驚異に値いたします。ハクサンチドリ・ハクサンコザクラ・ハクサンフウロ等、またシラネアオイ(旧松之山町の花)・シラネアザミ等とハクサン・シラネと付くものはほとんど全部が牧野先生の命名です。因みにハクサンは、加賀の白山、シラネは日光連山の白根山が、採取地です。このほか全国で植物採取され、自らを「草木の精」と称されていました。

 この雪椿にまつわる命名秘話は、父から何度も聞かされてきました。父は「雪椿の名称の発祥地は麒麟山であり発見者は植物に造詣の深い丸山忠次郎先生ですから、学校でも記録に残して欲しい」と先ほども述べた津川高校八十周年記念誌31頁に記しています。今、採取地が山中どのあたりかは知る術もありませんが、採取地はまごうことなく麒麟山であります。

 では何故、命名者が本田正次博士となっているのでしょうか?

(3/3)へつづく (会報誌:2021年9月)

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