村上大祭

暮らしのヒント

 本書は、著者・横川健さんの『村上の四季』(1997刊・朝日新聞社)、『三面川の鮭』(2005刊・朝日新聞社)に続く〝村上三部作〟といわれる著作の完結編である。最初のきっかけは、たまたま、私が会館事務局で、『三面川の鮭』を手にしたことだった。

 元来、私は、鮭というものになみなみならない興趣を抱くものである。それは、幼き頃、12月の中頃になると、我が家の台所に、一本の塩鮭がぶら下がり、正月が愈々近づいてきていると、心ときめかせたものだった。いうまでもなく、それが〝しょーびき〟と祖母や母たちが呼ぶ大晦日の〝齢とり魚〟だったからである。

 『三面川の鮭』は大変優れた写真集で、頁を繰っていくうちに著者が私と同じ横浜在住であること、会社定年後、趣味の写真の撮影対象を村上に絞って、1年8カ月にわたり現地に住み、撮影を続けたこと。私と同じ系列の写真倶楽部「全日写連」に所属してることもわかり、写連事務局を通じて連絡を取らせていただいたのである。

 そして、横川さんの心くばりにより、最新刊ということでお贈り頂いたのが本書というわけである。もとより、私自身、写真愛好家であり、かつ〝お祭り〟愛好家でもある。

 本写真集(B5判オールカラー160ページ)は、5章からなっており、大祭や神社の歴史をはじめ、屋台の組み立てから巡行、夜間のクライマックスまで写真で紹介するほか、おしゃぎり会館や村上藩、漆など大祭に関わる寄稿文なども掲載されている。

 横川さんは、本書あとがきで「母親が赤ちゃんを抱いて屋台の綱を引き、お囃子と村上甚句のハーモニーにつられ、村上椎州朱の美しい屋台が練り歩く。そして、親子3代が一緒になって祭りを祝う。そんな祭りの強い絆が、情け深い町をつくりだす基になっていると思う」と記している。

村上祭の屋台行事重要無形民俗文化財に

 平成30年(2018年)1月、国の文化審議会は村上市の「村上祭の屋台行事」を重要無形民俗文化財に指定するよう林文科相に答申。3月正式に指定書が交付された。村上大祭は1633年(寛永10年)村上城下の羽黒神社の遷宮を祝って始まった、385年の歴史を持つ祭礼。7月6日、7日が祭礼。 (広報委員長 樋口 高士)


村上大祭
横川 健 著
幻冬舎ルネッサンス 2012.7.1・刊