百四歳・命のしずく/風に吹かれて

暮らしのヒント

「七十で年少組とは参ったナ」「同窓会還暦組はまだ若手」という川柳がある通り、今や超高齢化時代となっている。今回ご紹介の本の作者である田中志津さんは、今年104歳にしていまだ現役という作家の方である。

 さすがに百歳を超えてから小説を書くのは難しくなったとはいえ、随筆や短歌など今も執筆の意欲は旺盛とのことで、積極的に仕事をされていて、今回の作品は長い作家生活の集大成ともいうべきものとなっている。作者田中志津さんは新潟小千谷の生まれで、佐渡鉱山の女性事務員第一号。

主要作品に
・「信濃川」
・「遠い海鳴りの町」
・「佐渡金山を彩った人々」
・「冬吠え」など多数。
 小千谷や佐渡にはその文学碑が建立されているほどの方で、すでにご存じの方も多いかもしれない。今回の本では過去の作品への自作解説や、多くの短歌、随筆などが書かれ、その生きざまに圧倒される思いで一気に読ませてもらった。

本書の構成(目次)
第一章 随筆
第二章 短歌
第三章 語録
・執筆の系譜・あとがき
・マスメディア紹介一覧
・プロフイール

 上記の本と一緒に、田中志津さんの次男で同じく作家である田中佑季明氏の「風にふかれて」を紹介したい。この本は随筆・短編小説・詩などを纏めたバラエティーに富んだもの。特に実体験した二つの大震災と、その後の避難生活について詳細に記されており今の時代に非常に説得性のあるものとなっている。同氏はお母さんの志津さんと同居され、そのお世話をされている。

本書の構成(目次)
第一章 随筆
第二章 組曲(鼓動)
第三章 短編
第四章 詩集
私小説 風に吹かれて
・詩論
・親子三人展……

(広報委員 佐藤勝)


百四歳・命のしずく
田中志津・著
刊:2021年2月22日
発行:牧歌舎/発売:星雲社

風に吹かれて
田中佑季明・著
刊:2021年3月25日
発行:牧歌舎/発売:星雲社