健康食オタクになったわけ

暮らしのヒント

大橋 貞夫

 平成4年7月下旬ころ、愛犬の散歩中、なだらかな坂道を登り始めたとき、急に息が切れ歩けなくなった。9年間バスケットボールで身体を鍛えてきたのに何か変だと直ぐにかかりつけ医の診察を受けたところ、赤血球が殆ど無く緊急入院となった。大腸がんで出血が続き、赤血球不足で酸素の取入れが十分できなかったのである。痔持ちだったので、出血は当たり前だと思い込んでいたのであるが、仕事も忙しく不注意であった。

 1週間ほど輸血してから手術が始まり、麻酔から覚めた時に異常な寒さに襲われたことを今でも鮮明に覚えている。結局一月ほど入院していたが、病院食の味の薄さに閉口して食が進まなかった。自分では気付かなかったが、退院時の体重が10キロ以上減って、ズボンがぶかぶかであった。

 これを契機に自分の身体に本当に良い食べ物は何か?真剣に考えるようになったのである。そこで、最初に手掛けたのがキャベツである。

乳酸発酵キャベツの効用

 乳酸発酵キャベツは、ビタミン・ミネラルなどキャベツが持つ栄養素を、善玉菌である乳酸菌がパワーアップしてくれ、キャベツの豊富な食物繊維と乳酸菌の働きで悪玉コレステロールを減少させ、排便が容易になり、腸内環境を整えてくれる。また、免疫力が増すので疲れ難くなり、アンチエイジング効果も期待できる。腸内環境が整えば血流が良くなり高血圧も予防する。キャベツの特有の成分であるキャベジンが胃の粘膜を保護・修復し、胃酸の過剰な分泌を抑制する働きがある。注意すべき点として、乳酸菌は熱に弱いので過熱料理に使用するのは厳禁である。

乳酸発酵キャベツの作り方
 材料
 新鮮なキャベツ:1個
 塩:小さじ4
 きび砂糖:小さじ1

一 、キャベツを4等分に切り、芯を取って洗い、水気をきり千切りにする。細かく切るほど発酵し易い。

二 、半量のキャベツをジッパー付きの保存袋(大)に入れ、小さじ2の塩と小さじ半量のきび砂糖を入れなじませる。

三 、残りのキャベツと塩、きび砂糖を加える。

四 、袋の上からギュギュっと押して余分な空気を抜き、口を閉じる。

五 、バットなどに袋を寝かせ、ペットボトルを3本程のせて、直射日光の当たらない常温の場所に3~6日置く。

六 、泡がたってきたら、清潔な瓶などに移して冷蔵庫で保存する。約一か月もつが、取り出す際は、清潔な箸を使用し、雑菌が混入しないように注意する。冷凍庫に入れると乳酸菌が休止状態になるので入れないこと。

七 、ヨーグルトであえると、まろやかでさっぱりした味になる。また、カレー粉やクミンなどのスパイスを適量混ぜ合わせれば、風味がガラッと変わり献立も変化する。いずれにしても小皿一杯ほど毎日食したい。

カレーは究極の薬膳

 カレーに使う各種スパイスは、インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)で使用される自然の薬草である。例えば、スパイスのターメリックは生薬でいうウコン、シナモンは桂皮、クローブは丁子、コリアンダーは胡荽子(こずいし)と同じで、漢方薬はいくつかの生薬を配合して、相乗効果により薬効を高め合い、体調を回復させるものである。

 ウコンには「クルクミン」という黄色い色素成分が含まれ、その働きはアルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ」というたんぱく質の発生を抑制し、発生後も分解する。

 他にも認知症の予防効果、抗酸化作用、各種癌の抑制作用、動脈硬化の抑制作用、白内障の予防効果などの働きが確認されている。がん予防に効果的な植物食品、ニンニク・キャベツ・大豆・生姜・人参・セリ科植物・玉ねぎ・茶・トマト・ナス・ピーマン・など豊富に入れたカレーを食し、健康な人生を過ごしましょう。(会報誌:2019年11月)

写真引用(ウェブ広報:榊):
クックパッド:https://cookpad.com/recipe/4996160
レタスクラブ(井澤由美子さんの料理レシピ):
https://www.lettuceclub.net/recipe/dish/23181/