天香山命

暮らしのヒント
越後一宮・彌彦神社祭神天香山命のルーツを探る

 本書は、私たちの〈ふるさと新潟〉の一宮・彌彦神社の祭神・天香山命(あめのかごやまのみこと)とはどこから来て、どういう神様なのかを探る読物ルポ。

 2018年11月~2019年12月まで、「新潟日報」に連載された全38話をまとめたもの。まず手掛かりを神話や伝説に求め、それを今に伝える地域の神職や識者の話を丹念に聞く。そして、これを指針として、畿内、丹後、尾張…など全国各地に取材に赴く。戻ってからは、今度は、県内各地、糸魚川、小千谷、胎内、出雲崎、間瀬…などへも次々に踏査していった。

 小林古径記念美術館は、平成28年から約4年間の整備期間を経て、10月3日に新たなスタートを切りました。今回の整備によって美術館と古径邸が同じ敷地内に一体となった他にはない魅力が生まれました。

 今回の整備については、古径の作品や資料を紹介する古径記念室と上越市ゆかりの作家の作品奈良大和三山天香久山と弥彦山の山容の類似 本書・第24章「祭神の根拠」─形似る二つの山がヒントか─(P55)を開いてみよう。「弥彦山」と「天香久山(奈良県橿原市)の写真が上・下に並べられている。

 著述者は、神武天皇が即位した橿原宮のあった橿原市の天香久山を現地で望んだ時、見た場所にもよるのだが、なんだか山容が似ていると感じたという。「…大和からはるばると越後平野を開拓に来た人々が、弥彦山を見て故郷を懐かしみ、弥彦山に宿る神様を、天香久山から名付けたのではないか。二つの山を見比べ、そんなことを思った。」と著述者は記す。

天香山命
新潟日報事業社
発刊:2020年5月
定価:1200円+税


彌彦神社
新潟県西蒲原郡彌彦村彌彦2887番地2
・主祭神:天香山命
・神 体:弥彦山
・例 祭:2月2日

◆ 越後の国一宮。彌彦神社は、正式には「いやひこじんじゃ」。
◆ 越後平野西部弥彦山(標高634m)の山麓に立派な社殿を構えている。
◆ 弥彦山山頂には、ご神体・天香山命(あめのかごやまのみこと)、その妃神・熟穂屋姫命(うましほやひめのみこと)が祭られている。
◆ 古くから越後国を造った神として崇敬され「万葉集」にも多くの歌が残されている。

◎越後新潟を〈ふるさと〉とする者にとって彌彦神社は大切な守り神。私たちの郷里では、同級会の還暦、喜寿…などの節目には必ず「やひこ詣り」「いせ詣り」が行われるのが慣例。私たちの中学同級会でも、平成29年の傘寿記念旅行で。彌彦神社を訪れました。(広報・樋口)