北限の茶処・村上

北限の茶処・村上

村上でお茶の栽培が始められて400年

佐藤 勝(広報委員・東京村上市郷友会)

「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る・・・」
昔懐かしい唱歌・茶摘みの歌です。

立春から数えて八十八日目に茶摘みが行われるといい、小さかった頃、茶畑の側を通るたび口にしたことを覚えています。

先月この時期にNHKのBSで、かなり長い時間をさいて村上茶が放映されていました。とても良い番組で嬉しくなり、取材を受けていた村上の老舗茶屋・冨士美園のオーナーが知り合いだったので、早速「テレビ見ましたよ!」と電話を入れました。


村上茶の老舗 冨士美園

村上の町にお茶の樹が栽培され始めてから今年はちょうど400年になるといいます。江戸時代初期に村上藩の大年寄、徳光屋覚左衛門が宇治・伊勢から茶の実を入手し、播種したのが始まりといいます。

世界初といわれる鮭の人工増殖や村上堆朱・堆黒など、いずれも遠い昔に村上藩士が手掛け、先人たちのたゆまぬ努力と研究によって立派な産業に成長してきているわけです。

最初は茶の製法も未熟でしたが、元禄年間に入って今の「芽摘み」という技術が習得され、早くから煎茶や玉露までの生産が可能になったそうです。今でも村上茶は生産量こそ多くないものの、その味わいや品質は全国の品評会などで高く評価されているといいます。


茶摘み茶畑

寒さに耐えて〝まろやかさ〟と〝渋み〟に優しさが
寒さに耐えて「村上茶はとがった渋みがなくまろやか」と良くいいます。これは日照時間が短いため、タンニンを生成する光合成が抑えられて旨味が蓄えられるからとのことです。お茶の樹は暖かいところの植物で本来は雪が降る所で作るものではなく、冬囲いもしなければならない、雪が降る前に、積雪を見越して枝が折れないように剪定もしなければならないなど、栽培の難しさや手間がかかる。一方で、寒さに耐えた村上茶は他の産地と比べるとまろやかで渋みが優しくなるといい、雪国ならではの個性ある味となり差別化しやすいのだそうです。


茶畑の雪景色

村上にお茶屋さんは多く、今回いろいろなお話を聞かせてくれた冨士美園さんは、創業が明治元年とのことで、他に江戸時代からの創業である九重園など、老舗も数店あるそうです。現在六代目の若き飯島社長さんは同業の方々とも協力して、「村上茶研究会」を発足させ、村上茶の一層の発展を願って活動、茶づくりの原点ともいわれる全国手もみ製茶技術競技大会で優勝するなど輝かしい成績を収めています。

明治にかけ日本が開国した時、輸出品として生糸に次いで二番目に多かったのがお茶でした。村上茶も明治26年にすでにアメリカの博覧会で高く評価されたそうで、
「越後村上新茶の出どこ
娘やりたやお茶積みに
宇治の新茶と村上の初葉が出合いましたよ
横浜で」
という茶摘み唄は往時を忍ばせます。(会報誌:2020年8月)

写真:
https://www.ochafes.com/fujimien210112/
https://tjniigata.jp/gourmet/2017年11月115雪国紅茶/

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