詩人 矢沢 宰(見附市)


詩人 矢沢 宰
生きることのせつなさ

矢沢宰は昭和19年(1944)に生まれました。見附市(元古志郡)上北谷小学校2年(8歳)で腎結核を発病し、県立三条結核病院に入院。以後絶対安静が続きます。

看護婦から貰った詩集をきっかけに14歳の秋から日記と詩を書き始め、21歳で没するまでに500篇もの詩を残しました。日記には、迷いながらも勁く生き続けようとする意志が綴られ読む人の心を打ちます。

死後、担当医師や教師が纏めた遺稿詩集「光る砂漠」が出版され、全国に反響を呼びました。(現在、思潮社版の刊行がある)

「生命の詩人」と呼ばれ、見附市大森公園内には「少年」の詩碑が建立されています。

「少年」矢沢宰

光る砂漠
影をだいて
少年は魚をつる
青い目
ふるえる指先
少年は早く
魚をつりたい




「再会」

誰もいない
校庭をめぐって
松の下にきたら
秋がひっそりと立っていた
私は黙って手をのばし
秋も黙って手をのばし
まばたきもせずに見つめ合った



「ききょう」

おまえは
本当に健康そうだね
つぼみは
ちょっとさわれば
はじけそうだね
一本のすじ雲
一本のすじ雲
このはてしない青空に
何かと何かを結ぶかのように
夕日で銀色にそまる
僕は好きだ この一本のすじ雲が



「早春」

すずめの声の変わったような
青い空がかすむような
ああ土のにおいがかぎたい
その春にほおずりしたい
何を求めていいのやら
きっとしまっているような
ああ土の上を転げまわりたい
淡い眠りの中の夢のような
生きなければいけないけれど
何だか死んでもいいような
去年の春 女がくれた山桜
まぶたの中に浮かぶような



「入学して」

私の教室には
にごった川を渡り
ほこりだらけの道を横ぎり
若緑のやなぎをゆらした
春風がはいってくる。
身も心も
怖ろしいほど不安な私に
喜びとなぐさめを与えてくれるもの
春風と
若緑のしだれ柳。
私が一番うれしいこと
春風としだれ柳に会えたこと。

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