拉致と決断

「北」での24年間をはじめて綴った迫真の手記

 本書は、拉致被害者である蓮池薫氏が、なによりも拉致問題解決を願い、自身の「北」での24年間にも及ぶ「監視下の生活」の実相を綴ったドキュメント。

 本書の内容は、冒頭の
・「絶望そして光 このままでは死ぬわけにはいかない」という1章目から
・「自動小銃音の恐怖 この地の戦争に巻き込まれ犬死するのが口惜しかった」(4章目)
・「配給だけでは食えない 私はトウモロコシが一粒落ちていても、拾うようになった」(8章目)
・「本音と建前 心を開かせようとする人には、ことさら警戒心が必要」(14章目)……というように、極めてリアリティのある「北」での生活の生々しい姿を綴った27章で構成されている。

 蓮池薫さんが、北朝鮮に拉致されたのは1978年4月、中央大学法学部3年在学時のこと。以来、24年間、北朝鮮での生活を余儀なくされることになる。そして、2002年9月の電撃的な小泉訪朝後の10月15日に「一時帰国」。

(当時は、あくまでも「北」へ帰ることを前提とした「一時帰国」であった)
 本書の出版は、2012年10月。帰国の丁度10年後のこと。蓮池さんは、
 「…北朝鮮での24年に体験した出来事とその時々の思いを、このように書き記そうと決意するまでには、かなりの歳月を要した。…あまりに重苦しかった半生を自分の中で整理する

 「本書では、拉致被害者としての自分の生活や思いだけでなく、北朝鮮の人たちや平壌市内で目撃した市民たち、旅先で目の当たりにした地方の人たちなどについても叙述した。」「……それには、北朝鮮社会の描写なくして私たちの置かれた立場をリアルに描けないという理由……。」「……決して楽に暮らしているとは言えない民衆……彼らは、私たちの敵でもなく、憎悪の対象でもない。」「……問題は、拉致を指令し、それを実行した人たちにある。それをしっかりと区別することは、今後の拉致問題解決や日朝関係にも必要な事と考える。」
(広報・樋口)


蓮池 薫 (はすいけかおる)
1957年新潟県柏崎市生まれ
新潟産業大学経済学部准教授
訳書:「ハル哲学する犬」など20冊
著書:『半島へ、ふたたび』(新潮社 2009年 刊)

『拉致と決断』

感涙のドキュメント
蓮池 薫 著
新潮社
発刊:2012年10月15日 刊

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