雪国を江戸で読む

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「雪国」活写の『北越雪譜』「江戸」で出版までの経緯

今年2020年(令和2年)は、『北越雪譜』生みの親・鈴木牧之(1770〜1842)の生誕250年記念の年。本書は、この『北越雪譜』の40年にも及ぶ誕生(天保8年・1837)までの経緯を詳細に語る好著。
越後の郷土誌を江戸の出版文化の中に位置づけ
『北越雪譜』は、従来、越後の縮問屋主人の手になる「郷土誌」として評価されていた。本書は、牧之と江戸の出版文化人・馬琴、京山らとのやり取りの詳述により、江戸の出版文化の実相を浮き彫りにする。

本書の構成(目次)は、
一、雪の本への途
1.江戸の書物と辺境・異郷
2.越後と牧之、文化の大衆化の中で

二、雪の本とそれぞれの思惑
3.京伝・玉山・芙蓉、そして牧之
4.馬琴・京山・そして牧之

三、『北越雪譜』を編む
5.馬琴・京山の出版ノウハウ
6.本をつくる 京山・牧之の協働
7.版本『北越雪譜』を解く

著者・森山武氏(1960〜)は、旧小出町(魚沼市)出身。法政大学BA(哲学)。
東京で10年過ごした後、海外に出て、これまで30年間オーストラリアに滞在。現在、バースのマードック大学グローバル・スタディーズ学部教授。なお、出版元東京堂も新潟ゆかりの会社。創業者・大橋新太郎氏は、長岡市の出身。明治・大正・昭和の大出版社・博文館の創業者・大橋佐平氏の三男である。


『雪国を江戸で読む』
鈴木牧之生誕250年記念出版
近世出版文化と『北越雪譜』森山 武 著
東京堂出版
発刊:2019年12月
定価:4,500円

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