谷中七福神めぐり

暮らしのヒント

登石 正中

 毎年暮れになると、お正月をどう過ごすか、頭の中をよぎりますが、昨年は「浅草七福神めぐり」に行ったので、今年は数ある七福神めぐりをグーグルで検索してみました。そして江戸で最も古いと言われている「谷中七福神めぐり」に決めました。ちなみに七福神めぐりの期間は一月一日~一月十日までです。


田端駅で配布されている地図

 上野から田端の間JR山手線の内側で、快晴の一月五日、田端駅に到着しました。駅構内では既に七福神めぐりの団体が数多く集合していました。午前十時田端駅北口で配布している地図を片手に出発。駅前の左手の坂道を約五百メートル行った右側の赤紙仁王様(願を掛けたい部分に赤い札を貼ると霊験があると言われ、全身赤札でお顔も見えません)がありその前を通り過ぎ、第一番の目的地東覚寺の福禄寿様に向かいました。寺務所で多色刷り木版画を求めてご朱印を戴き、次の青雲寺を目指して歩きます。西日暮里四丁目交差点を越えると青雲寺の参道入口です。この青雲寺は恵比寿様が祀られていて、先程の木版画にお布施二百円を添えご朱印を戴き、次に並びの修性院へ。迫力のある布袋様を参拝し、また木版画を取り出しご朱印を戴きました。その後「谷中銀座通りに出て日暮里駅方向に歩き、階段になっている「夕焼けだんだん」を上がり、コーヒーで人心地。この一杯で喉の渇きは極楽、極楽というところです。約二十分の休憩の後、後半の四か所に向けて出発しました。日暮里駅の脇を通って、谷中の墓地の方へ回り込むと次の目的地天王寺に出ます。ここでは毘沙門天の祀ってあるお堂があり、奥の寺務所は七福神めぐりの皆さんで大変混み合っていました。参拝後しばらく待ってご朱印を戴きました。毘沙門天の天とは、古来より日本人に寄り添い、仏の世界では如来・菩薩・明王の次が天で、四天王(持国天・増長天・広目天)の一尊として造像安置する場合は「多聞天」と言います。毘沙門天のほかこの七福神には大黒天と弁財天が入っています。

 戻りながらふと右を見ると、奈良の国宝九体阿弥陀如来像のある浄瑠璃寺によく似た建物があり、丁度渡り廊下から外国人と見られる二人連れがお堂の中に入られたので、ちょっと覗いてみたかったのですが、寿老人の谷中長安寺に向かいました。


途中で購入した木版画

 この度初めて谷中墓地に入ってみたら、いろんな文人墨客のお墓が案内板に掲示され、そちらはまたの機会とし長楽寺に到着。ここは靴を脱いで参拝するところでした。その後大黒様の護国院へと谷中の墓地を歩きました。護国院は東京藝術大学のすぐ側で両側に桜の古木があり、花見の時期には花見客で賑わうことでしょう。

 最後は不忍池の中にある弁天堂の弁財天へと向かいました。お天気もよく気分も高揚し、谷中の七福神めぐりに最適な一日でした。お昼を過ぎていたので弁天様のお参りもそこそこに、御徒町駅前の吉池食堂へとまっしぐら、そんな谷中七福神めぐりでした。

(2016年3月 登石 正中)