高橋酒造株式会社

にいがた情報
高橋酒造の起こり

高橋酒造の起こりは、江戸時代末期安政年間(1854~59)に初代・高橋七之助が、長岡城下から城外に出てすぐの栖吉川と福島江が交わる現在の地に「紺屋」を始めたことによります。その後、酒造りをはじめ、その頃の銘柄は「玉雪」でした。
合併後の新しい長岡市には16の日本酒蔵元がありますが、旧長岡市の旧市街地区にあるのは今や高橋酒造だけです。住宅地の河畔に立つ姿は一見の価値があります。

高橋酒造
赤レンガの煙突が特徴の酒蔵

新しい醸造蔵の建設

大正8年、三代目・高橋榮太郎は新しい醸造蔵の建設に着手しました。この新蔵は、内部は堅牢な木造中心の土蔵造り、そして、外壁は敢えて漆喰を使わず、すべて赤煉瓦造りとなっています。蔵の建設と同時に高さ20メートルの六角形の総レンガ造りの煙突も建設されました。

高橋酒造
建物は国の登録有形文化財

長岡空襲を乗り越えた赤レンガ蔵と六角煙突

赤レンガの蔵と六角煙突は、昭和20年の長岡空襲ではかろうじて難を逃れ、さらに昭和39年の新潟地震、そして平成16年の新潟県中越地震では外壁の亀裂や一部崩落など大きな被害を受けながらも、立派に耐え抜きました。平成19年には国の「登録有形文化財」に登録されています。
赤レンガ造りの蔵はまもなく築100年を迎えますが、現在も現役で使用されており、建造時の大正浪漫の趣きを今に伝えています。内側はしっかりとしたコンクリート壁で、内部の温度や湿度は安定して保たれ、酒造りに有効な環境を保っています。

高橋酒造
和釜で米を蒸す

主要な銘柄

同社の主な銘柄は「長陵(ちょうりょう)」と「八一(やいち)」があります。
「長陵」とは、越後長岡の古称で、長岡出身の山本五十六が晩年に雅号として使用しています。他方「八一」は、新潟市出身の東洋美術史家で歌人の「會津八一」に因んで名づけられた商品です。會津八一は高橋酒造の創業家・高橋家の遠縁でもあります。

高橋酒造
麹づくりは全量手作りで行う

酒造りへの取り組み

新潟の清酒には、キレのよい淡麗辛口というイメージが定着していますが、高橋酒造は創業以来、コクがあるタイプのお酒を醸しています。大正時代に建設された蔵で、地元の人びとが日常の晩酌に飲む食中酒を、長い年月、醸してきたのです。
そうした地元に愛されてきた酒造りの伝統の上に、市場の好みに対応した新しい酒造りにも取り組んでいます。キレのよさだけでなく、日本酒のもつふくよかな旨味やまろみ、やさしい味わいや香りを大切にした高橋酒造のお酒は、毎年秋に行われる「越後長岡酒の陣」などを通して新しいファンを獲得しています。
高橋酒造は淡麗辛口にとらわれず、「独往」の精神でこれからも酒造りにとりくんでいきます。

高橋酒造
2階には酒母用のタンクが並ぶ

高橋酒造
製造責任者の関口賢史さん

高橋酒造
1階にはもろみ用のタンクが並ぶ

小さな仕込みでじっくりと発酵させている。レンガ蔵建造時の作業工程と変わらず、「麹」と「酒母」は2階で、「もろみ」の発酵は1階で行っています。蒸した米を担いで階段を駆け上がることもよくあるそう。

高橋酒造の主な製品

■長陵百年樹 普通酒
コクがあり飽きの来ない晩酌酒。

長陵百年樹 普通酒

■八一 特別純米
吟醸酒に近い酒質で、すっきりとした印象。香り・コク・キレのバランスのとれた特別純米酒。

高橋酒造

■壺中天地 大吟醸
會津八一揮毫の書。別天地を意味する。同社の最高級酒。

高橋酒造

■雪兜 純米吟醸
やさしい香りとほど良い酸味でスッキリした味わい。食中酒としておすすめの純米吟醸。

高橋酒造

取材後記
今回の取材では、杜氏であり、かつ製造責任者である関口賢史氏からお話を伺い、酒蔵内を案内していただきました。静かな中にも酒造りへの情熱が感じられました。
(文:広報委員 大原 精一)

高橋酒造株式会社

新潟県長岡市地蔵1-8-2
☎:0258-32-0181
HP:https://echigo-choryo.co.jp/

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